フレドリック視点ポーラの甘い吐息が部屋中に響き、俺の声と混ざり合っていた。このベッドの上で起きたすべてを、壁だけが静かに見守っている。会社から何件も着信が入っていたが、そんなものを気にしている余裕はなかった。俺は今、ポーラとの熱狂的な時間に夢中だったからだ。溜まりに溜まったストレスや重圧を、ポーラと共に吐き出す。それは間違いなく正しい選択だった。彼女への抑えきれない情熱が、俺を完全に支配していた。汗で濡れた身体は、互いがどれほど満たされているかを物語っている。「愛してる」俺はポーラの美しい瞳を見つめた。彼女の指が優しく俺の頬をなぞり、いたずらっぽい笑みを浮かべる。その表情を、俺はいつだって無視できない。もし彼女と別れることになったら――いや、それどころか、その顔がマチルダのものに置き換わったらどうなるだろう。ぞっとした。マチルダの額にキスをすることを想像しただけで気分が悪くなる。彼女の髪の匂いですら、どこか不自然で落ち着かなかった。くそっ。気づけば頭の中に、ポーラではなくマチルダの顔が浮かんでいる。「私も愛してるわ、ベイビー。何を考えているの?」ポーラは俺のことをよく分かっていた。その視線が好奇心と疑念を帯びる。「何でもないさ。ただ、お前みたいな女性なしでどうやって生きていけばいいんだろうって考えていただけだ。今まで付き合った女たちはただの肉体関係だった。でもお前は違う。頼むから、俺を置いていかないでくれ」そうだ。恋愛の奴隷だと笑いたければ笑えばいい。俺はいつだってポーラの前では弱い。彼女に捨てられないよう懇願するほどに。ポーラは俺の唯一の弱点だった。「今、私をマチルダと重ねていたでしょう?」ポーラは唇を尖らせた。「嘘はだめよ、フレドリック。あなたの考えていることくらい分かるんだから。まず第一に、あなたは彼女のことなんて考えるべきじゃないわ。それに第二に、私の顔を彼女と入れ替えるなんて失礼よ。少し傷ついたわ、ダーリン」「分かったよ。お前の勝ちだ」俺はため息をついた。「でも分かってくれ、ポーラ。この状況がどれだけ俺を苦しめているか。相手はマチルダなんだぞ? 俺がどれほど彼女を嫌っているか知っているだろう。そもそも俺の近くにいるべき人間じゃない。あいつは俺の評判を台無しにする。祖母は盛大な結婚式を計画し
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