フレドリック視点
「ダーリン!」
ポーラに抱きしめられると、落ち着かない心が少しだけ和らいだ。
それでも、マチルダをかばったことが間違いだったような気がしてならない。
理屈では分かっている。
家族の心ない言葉を止めたのは正しいことだった。
それなのに、どうしても胸の中に違和感が残っていた。
「どうしたの? 今日はずいぶん静かね、ダーリン」
私はポーラを見た。
彼女は首に回していた腕を外し、胸の前で組む。
不思議そうな顔だった。
「分かったわ。マチルダとのあの一件が原因ね。何があったの?」
ポーラは眉を上げた。
「まさか彼女に恋でもしたんじゃないでしょうね?」
「ポーラ」
私は低く言った。
「前にも言っただろう? こういうことで冗談を言うなって。そもそも、この結婚を進めろと言ったのは君だ」
苛立ちが込み上げる。
「もういい。今夜は来るべきじゃなかった。帰る」
私は立ち上がった。
このまま会社へ行き、朝までオフィスに閉じこもっていた方がよほど気が楽だ。
「待ってよ!」
ポーラは慌てて私の手を引いた。
「そんなに怒らないで。あなた、本当に繊細なんだから」
唇を尖らせる彼女の表情に、私は思わ