フレドリックの視点
「さよなら、ベイビー。明日の準備ができたら教えてくれ」
ポーラの唇にキスをした。離れたくない、行きたくない。だが、どうすればいい? もし家に帰らなければ、祖母は気が狂ってしまうだろう。それに正直なところ、今さらどんな言い訳ができるというんだ? 自分が何時間もビジネスパートナーと雑談するようなタイプではないことなど、祖母は重々承知しているのだから。
すでに午後3時だった。家を出てから8時間が経っていた。その上、叔父が俺の仕事を引き受けてくれている。重苦しく、落ち着かない気分が胸に這い上がる。何か悪いことが起こる予感がしてならない。
「ねえ、そんなにぼんやりしてどうしたの? 何を考えているの?」ポーラが俺の顔を両手で包み込んだ。
「何でもない。ただ……お前ともっと一緒にいたくて」俺は認めた。「だが、明日は旅行に出発するし、ちゃんとしておかないとな。祖母からスケジュールが出たら連絡するよ。レイがお前を迎えに行かせて、現地まで送らせる」
祖母を説得して、俺のプライベートジェットを使わせるつもりだった。祖母のジェット機は使いたくなかった。もし監視カメラが設置されていたらどう